【物性I】
誘電体
物理現象を三次元で可視化、物質の新しい性質を発見する
横田紘子先生
千葉大学
理学部 物理学科(融合理工学府 先進理化学専攻 物理学コース)
世界で一番美しい元素図鑑
セオドア・グレイ、監修:若林文高、写真:ニック・マン、訳:武井摩利(創元社)
とにかく写真がきれいで、理数系に興味がない学生でも、見ているだけで楽しめます。電子軌道なども書かれており、データも充実しています。周期表を眺めているよりも、元素をより身近に感じられるはずです。
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物理現象を三次元で可視化、物質の新しい性質を発見する
トポロジーに物理学も注目
取っ手の付いたコーヒーカップとドーナッツが、トポロジーの観点から考えると同じだというエピソードを、聞いたことがある人も多いと思います。トポロジーの考え方は、もともと数学分野で発展してきましたが、物理学の分野でも近年注目されています。
新しい物質や現象を見つける鍵にも
物理学というと宇宙論や素粒子論を思い浮かべると思いますが、私が研究しているのは物性物理学です。電気を流す物質と流さない物質の違いはどこにあるのかなどを、物理学の観点から解明するのが物性物理学です。
この物性物理学の分野においてもトポロジーの概念を用いることで、新しい現象が発見できるのではないかと期待されています。実際に、物質の表面だけに電気を流すような不思議な物質(トポロジカル絶縁体)などが見つかっています。
物質に生じる変化をレーザーで捉え画像化
私は、誘電体や弾性体におけるトポロジカル面欠陥や点欠陥を研究対象にしています。特にトポロジカル面欠陥などで発生する物理現象を、三次元的に可視化することを目指しています。
物質の内部で、どのようなことが起こっているのかを非破壊で可視化する技術は限られており、私の研究では光(レーザー)を使います。光と物質の相互作用によって生じる、わずかな変化を捉え、画像化することにより、こで常識だと考えられていた事柄に新しい知見をもたらすことができます。
単なる欠陥だと思われていたものが、実は電気を蓄えておくことができる、そういう物質を次々と見つけています。
グルノーブルの放射光施設において実験を行った際の写真。2次元検出器の前で海外の共同研究者(ロシア・中国・韓国)
◆テーマとこう出会った
学部・大学院時代から、物質の持つ「揺らぎ」に興味を持っていました。博士号取得後、オックスフォード大学で1年半研究を行った際にも、物質内に存在する揺らぎが、物質全体の性質に大きな影響を与えることに着目した研究を行ってきました。
一方で、これまで空気と物質との境目である表面や、二つの異なる物質の境界である界面に関しての研究が世界的に行われているのに対し、同一物質内における境界については、ほとんど研究が行われていませんでした。この二つのテーマを組み合わせれば何か面白いことがあるのではと思い、研究を開始しました。
ワルシャワでの国際学会の際に海外の共同研究者(イギ
理学部物理学科は40人と少人数のため、学生と教授との距離が近く、他の大学と比較しても質問などをしやすい雰囲気です。飛び級制度にも積極的で、興味があれば学部3年生から研究を開始することもできます。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?
物理
Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?
イギリス。住んだことがあって慣れているから。