【生態・環境】
一斉開花
熱帯雨林の様々な植物が同期して開花。森の奥深さに魅せられて
佐竹暁子先生
九州大学
理学部 生物学科(理学研究院 生物科学部門)
生態学と社会科学の接点
編集:日本生態学会、佐竹暁子、巌佐庸(共立出版)
生態系の問題を人間の活動と絡めて論じ、生態学と、社会心理学や経済学といった社会科学をつなぐことを試みています。
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熱帯雨林の様々な植物が同期して開花。森の奥深さに魅せられて
「一斉開花現象」はライフワーク
複雑さから秩序が生まれる仕組みを明らかにすることが生物の本質を深く理解することにつながると考え、生命のロジックを追求する数理生物学の道に進みました。
大学院在籍時には、最も複雑な系と考えていた熱帯雨林で、数年に一度様々な植物種が同調して一斉に開花し、大量の実をつける「一斉開花現象」に魅了され、一斉開花および繁殖の豊凶現象の仕組みを明らかにする理論研究を開始しました。現在に至るまでこの研究テーマがライフワークとなっています。
生物学の異なる分野を数理生物学がつなぐ
これからの生物学は、生態学がもつ多様性の視点と分子生物学がもつ普遍性の視点を結びつけることが非常に重要であると考えています。
異なる分野を自由に行き来するには、数理生物学がもつ「一見するとまるで違う対象の間に類似性や共通性を発見する力」が欠かせません。この力を磨くため、今後の数理生物学は、生物学のマクロ・ミクロ分野の橋渡しとしての役割がますます大きくなるに違いないと思います。
この確信をもとに、生物の多様性が生まれる原理を分子レベルで明らかにする研究を行っています。
インドネシア カリマンタン島での調査。ガジャ・