【科学教育】
キレる子ども
子どもが「キレる」科学的な原因と対応を考える
川谷正男先生
福井大学
医学部 医学科 小児科
(2021年度~ 福井県こども療育センターに異動)
奇跡がくれた宝物 「いのちの授業」
小沢浩(クリエイツかもがわ)
私の尊敬する先輩が書かれた本です。この本を読むことによって、障がいとは何か、いのちとは何か、家族の思いや繋がりを考えることになるでしょう。
子どもが「キレる」科学的な原因と対応を考える
答えの見つからない疑問が研究になる
研究で一番大事なことは、自分が疑問を感じたかということです。普段の生活の中で、わからないことはたくさんあります。自分にとってわからないこと一つ一つが、研究の種となります。
しかし疑問を感じなければ、そのまますぎていきます。わからないことに疑問を感じて、自分で考える、調べる、ということが研究の第一歩です。多くは考え、調べることで解決されるかもしれませんが、いくら考えても調べても答えが見つからない場合、それが研究のテーマとなりえます。
些細なことで怒り暴力をふるう子が増えた
私は小児科医です。毎日、いろいろな子どもさんやその家族と接しますが、最近、普段は穏やかな子どもなのに、ほんの些細なことで激しく怒り、乱暴な言葉を吐いたり、人や物に向って暴力をふるう、いわゆる「キレる子ども」が多くなっているように感じました。
全国の学校で増え、先生や大人が困惑
実際に調べてみると、全国の学校でもそのような子どもが増えており、その原因や、対応の仕方がまだよくわからず、全国の多くの子どもや家族、学校の先生が困っているということがわかりました。そこで、「キレる子ども」の原因や対応を考えることを研究テーマとしました。
皆さんも普段の生活の中でわからないことに疑問を感じる癖をつけること、そして自分が感じた疑問について考え、調べる癖をつけるといいと思います。
ケーキが切れない非行少年たち
宮口幸治(新潮新書)
障がいとも判断されずに、本人も気づかず、周囲にも理解されずに非行に至る少年は少なくありません。皆さんの周りに同じような少年がいるかもしれない、そのことへの気づきと関わり方について、わかりやすく書かれています。
光とともに…(漫画)
戸部けいこ(秋田書店)
私が普段診療している自閉症のお子さんの特徴や、家族の思いが非常にわかりやすく描かれています。本書を通して、なかなか理解が得られにくい自閉症という病気に関心を持ってもらい、正しい理解が得られることを期待します。
レインマン(映画)
バリー・レビンソン(監督)
私が大学受験の時に視聴した映画で、第61回アカデミー賞受賞作品です。自閉症を演じるダスティン・ホフマンの名演技と、トム・クルーズ演じる弟との兄弟愛に引き込まれました。この映画を通じて、現在専門としている発達障がい領域への志をさらに強くしたのを覚えています。