【教科教育学】
技術科教育
使いこなせる実感が持てる、中高共通のロボット教材を開発
室伏春樹先生
静岡大学
教育学部 学校教育教員養成課程 技術教育専修(教育学研究科 学校教育研究専攻)
世界を動かす技術思考 要素からシステムへ
木村英紀(講談社ブルーバックス)
技術とは何か、という哲学的な問いは明快な解答が得られていません。なぜなら、技術は人間社会が発達することでその形を大きく変えていくからです。技術は道具から機械、システムへと変化を遂げています。本書は現在の技術の主役であるシステムを対象に、システムとは何かを豊富な具体例とともに解説されています。技術とは何かを考える上で、先人たちが構築してきたシステムを理解し、新たなシステムを作り出すような人を目指してください。
使いこなせる実感が持てる、中高共通のロボット教材を開発
小学校プログラミング必修で様々なロボットが登場
私の主な研究対象は情報に関する技術教育です。特に中学校の技術科で利用される「計測・制御」教材として、ロボット教材の開発を行っています。ロボット教材には車輪で移動する車型や、近年注目されるドローンのような飛行型など、様々な種類が存在します。
小学校でプログラミングが必修になったことで、様々なロボット教材が開発されていますが、これらは異なる目的で製作されているため、一つのロボット教材を使いこなせても、他のロボット教材を使いこなせるかはわかりません。
もちろん、得意な人は自分で調べたり試したりできますが、どのような人でも「技術を自分の手で使いこなしている」実感を持てるように、学校種が変わっても続けて利用できる教材が必要ではないかと考えました。
中学、工業高校で利用できる共通の制御基板
そこで現在研究しているのが、中学校の技術科と工業高校の両方で利用できるロボット教材です。技術科では車型、工業高校では飛行型のロボット教材を、同じ制御基板で動かせるようにしようと開発を進めています。
このロボット教材によって、生徒のプログラミング技術の習得効率を高めたり、専門的な学習に興味や関心を持たせたりできると考えました。
学んだ技術が身近な生活・世界を変える
どのように教えるかだけでなく、なぜ教えるかまで考え、さらにそれを具体的な形にできるのが技術科の教材開発研究の醍醐味です。生徒の学んだ技術が身近な生活を変えることで、地域や社会、そして世界を変える力になると信じています。
アイデアのつくり方
ジェームス・W.ヤング、訳:今井茂雄(CCCメディアハウス)
高校時代までは誰かに教えてもらうことが大半ですが、大学や社会人になると自分から問題を見出し、解決していくことが求められます。問題を発見したり、解決したりするためにはアイデアが重要です。アイデアを生み出すためには高校時代までの学習(既存の要素)が糧になることを理解することができます。
PSYCHO-PASS(アニメ)
塩谷直義(監督)
近未来の社会を描いた人気シリーズで、未来的な技術考証だけでなく、社会制度設計など考えさせられる内容が散りばめられています。人工知能が社会を管理する世界観において、現代社会でも実現されていること、そうでないことを見つけたり、フィクションが事実になるために必要な要素を考えてみたりしてはいかがでしょうか。