Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?
様々な後悔はありますが、戻りたい年齢はありません。例え戻ったとしても、おそらく、同じ道を進むのではないでしょうか。
【子ども学(子ども環境学)】
遊び
熱中できる遊びの中にこそ、学びのもとが詰まっている
山名裕子先生
秋田大学
教育文化学部 学校教育課程 こども発達コース(こども発達・特別支援講座)
子育ての知恵 幼児のための心理学
高橋惠子(岩波新書)
高校生の皆さんにとって、「幼児」という存在は、遠い存在かもしれません。まだ子どもの親になっている人は少ないかもしれませんし、将来、自分が子どもを持つかどうかも、まだわからないからです。でも、次世代を担う皆さんにとって、これから避けては通れない問題です。社会全体で子どもを育てるだけではなく、今までのように「子育ての多くを母親だけの手に委ねない」姿勢が重要だからです。
この本は、発達心理学が蓄積してきたデータを基に、幼児はこんなふうに考える、こんなふうに世界を見ている、ということを丁寧に述べています。
熱中できる遊びの中にこそ、学びのもとが詰まっている
勉強は嫌いだけど、考えることは好き
皆さんは、勉強、好きですか。幾度となく聞かれた質問かもしれませんね。それでは、好きではないけれど得意な科目や、好きだけど不得意な科目はありますか。
私は「勉強」は、あまり好きではありません。でも、考えることは好きです。行き詰まってしまうことも多々ありますし、考えたところで、どうなるものでもないこともあります。でも、考えることをやめたくはありません。
幼児の頃、熱中したこと
もう一つ質問。みなさんは小さい頃、熱中したこと、ありませんか。砂場での遊び、おままごと、積木、粘土…何でもいいのですが、熱中したこと、ないでしょうか。あるいは、勉強とはまったく関係ないけれど、こだわっていたこと、ないでしょうか。
幼児は小学校以上で行われるような「勉強」はしません。でも、自分が好きな「遊び」の中には、その子どもにとって重要な「学び」がたくさん詰まっています。
遊びは周囲の環境まで変えていく
私は、子ども自身が好きだから、熱中してこだわっている遊びだからこそ、その子どもにとっての学びの基礎となる経験が詰まっていると考えています。そしてその遊びは、実は一人だけのものではなく、友だちや環境も変えていく。
そのような「学び」を一生涯、続けていくことが、これからの世界には重要なことだと考えています。その世界は、現実の世界はもちろんのこと、ヴァーチャルな世界も含まれています。自分が自分らしく生きられる世界を、みんなが自分のこととして尊重し合えるような世界に変えていきたいですね。
附属幼稚園での教育実習での一コマ。
2年生は2週間、3年生は3週間、実習をおこないます(数年前の様子です)
公的な教育は、その社会やコミュニティにおいて最も重要なシステムの一つです。その一方で、公的な教育、狭義には「学校」という社会における様々ないびつさも指摘されています。大人から子どもに何かを「教える」だけではなく、子どもの経験を保障する、遊びの中の「学び」を援助するといったような幼児期の「保育」、つまり「early child education and care」で示されるような、教育とケアが一体となった教育システムを構築することが重要ではないでしょうか。
ある年少の男の子に「ねぇ、人間?」と聞かれたことがあります。皆さんなら、どう応えますか。そして続けて「ねぇ、昔は外国人?」…なかなか面白い質問ですよね。その時のやりとりから、子どもの思考について考えるきっかけとして、講義の「つかみ」にしています。
秋田大学で保育士を目指す学生を対象に、「保育の先輩と語る会」を毎年,開催しています。
卒業した先輩たちに、様々な質問、そして不安や心配を聞いてもらっています(数年前の様子です)
◆職種
(1) 幼稚園教員、保育士等
(2) 小学校教員
(3) 福祉・介護関連業務・関連専門職
◆学んだことはどう生きる?
幼稚園教諭、保育士、保育教諭になる学生がほとんどです。多くの学生が保育者になっています。また小学校免許状を必ず取得し、さらに特別支援学校の教員免許状も取得可能です。当然のことですが、保育者には子どもに関する様々な知識や理論に加え、実際に子どもとかかわり子どもから学ぶ「実践」も重要です。学生の多くは、その理論と実践を往還しながら、保育者のたまごとして、保育の場に赴いています。
子どもの発達・教育に関して、教員同士での議論が活発です。国内の研究会や学会はもちろんのこと、教員の多くが国際学会でも発表しています。
また附属学校園(幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校)が比較的近いところに、それも4校園が同じ敷地内にあります。そのため学生の実習はもちろんのこと、様々な授業で現場の先生方のお話を聞く機会にも恵まれています。附属学校園の先生との研究も盛んに行われています。
大事なものは見えにくい
鷲田清一(角川ソフィア文庫)
私たちが、普段「当たり前」と思っていることが「当たり前」ではないことを丁寧に、そして時に皮肉交じりに書かれています。考えること、学ぶことの大切さを、皆さん自身、考えながら読んでください。
ガンピーさんのふなあそび
ジョン・バーニンガム、訳:光吉夏弥(ほるぷ出版)
ガンピーさんの小舟に、子どもたちやうさぎ、ねこ、いぬなどの様々な動物たちが乗ってきます。なかなか楽しい小舟の旅……になるでしょうか。ガンピーさんは保育者の鏡のような船頭さんです。どういうところがそう思えるのか、ぜひ読んでみてください。
つまんない つまんない
ヨシタケシンスケ(白泉社)
ある男の子が「つまんない」を本気で考える絵本です。ヨシタケシンスケさんは、子どもの立場から、子どもの視点で絵本を書かれているように思います。例えば「ふまんがあります」「りゆうがあります」など、誰もが一度はつぶやいたことのあるタイトルも魅力の一つです。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?
様々な後悔はありますが、戻りたい年齢はありません。例え戻ったとしても、おそらく、同じ道を進むのではないでしょうか。
Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?
オーストラリア、ニュージーランド、カナダが候補です。のんびりしていることと、英語が十分に話せないことを許容され、多様性を受け入れる社会だから。
Q3.感動した映画は?印象に残っている映画は?
感動とは違いますが、戦争にまつわる映画、逆境に立ち向かう映画を見ることが多いです。その反面、思いっきり笑える映画も大好きです。
Q4.熱中したゲームは?
テトリス(大学のある時期,すごくはまりました…)
Q5.研究以外で楽しいことは?
日本一深い湖で遊ぶこと