【地域研究】

自然との共存

世界の諸地域は、いかに環境と折り合いをつけ発展してきたか

佐藤孝宏先生

 

弘前大学

農学生命科学部 国際園芸農学科(地域共創科学研究科 産業創成科学専攻)

 

 出会いの一冊

世界単位論

高谷好一(京都大学学術出版会)

世界の様々な地域が、国境や行政区など人為的に引かれる境界とは別に、それぞれの土地が持っている自然や生態を基礎として、その上に人類社会が成立していることをわかりやすく解説している本です。

 


 こんな研究で世界を変えよう!

世界の諸地域は、いかに環境と折り合いをつけ発展してきたか

人類が発展してきたのは

1990年代初頭に東西冷戦が終結し、インターネットで世界がつながるようになって、ヒト・モノ・カネ・情報が地域や国境を越えてグローバルに移動しています。今では当たり前に見えるこのような世界も、ほんの数百年前までは全く異なる世界でした。

 

地球の地質や生態系に人類が重大に影響を与えるようになってから、現在に至るまでの時代のことを人新世と呼ぶことがありますが、人類が誕生した20万年前から人新世に至るまでの長い間、人類は周囲の環境と折り合いをつけながら、自分たちの社会を維持・発展させてきたといえるでしょう。

 

人類と環境の関係を歴史的に解く

 

地球温暖化や生物多様性の減少などグローバルな環境問題が課題となっている今、世界の様々な地域社会が周囲の環境と如何にして折り合いをつけながら維持・発展を遂げてきたのかを歴史的な視点から明らかにすることは、われわれ人間の営みを地球規模の物質・エネルギー循環や、多様な生物世界の営みの中に位置づけて、持続可能な社会を構築するために不可欠と考えています。

 

地域が本来持っている「潜在力」

 

この研究では、統計資料や観測資料を用いた巨視的な視点からの分析と、現地フィールドワークを通じて得られる微視的な視点を組み合わせ、世界の諸地域が本来持っている「潜在力」を明らかにするとともに、持続可能な地域社会を構想するための新たな世界観を提示することを目的に研究を行っています。

 

インド・タミルナードゥ州のため池灌漑地域では、近年の急速な経済発展により住民の暮らしが大きく変化しています。

 先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「モンスーンアジアの生存基盤 ―指標研究と地域研究の融合―」

詳しくはこちら

 

 どこで学べる?

「地域研究」学べる大学・研究者はこちら(※みらいぶっくへ)

 

その領域カテゴリーはこちら↓

20.文化・文学・歴史・哲学」の「81.地域研究、文化人類学・民俗学」

 


 もっと先生の研究・研究室を見てみよう

佐藤先生のページ

現在はインド・パンジャーブ州における藁焼きに関する研究や、日本農業における外国人材の役割に関する研究に着手。

 

人間開発指数(左)と生存基盤指数(右) (どちらの図も青は評価が低く、赤は評価が高い)

ものの見方を変えると、世界は大きく違って見えるようになります。

 中高生におすすめ ~世界は広いし学びは深い

栽培植物と農耕の起源

中尾佐助(岩波新書)

人間の生活と切り離すことのできない様々な栽培植物が、歴史的にいかに改良されてきたのかを説明した本。少し専門的な記述もありますが、毎日自分が食べている食べ物が、どこで生まれたのかわかります。



世界の食べもの 食の文化地理

石毛直道(講談社学術文庫)

世界各国の風土や歴史と食生活の関係を調べ、食べ物から見た世界地図を描いています。味覚が絶対的なものでなく、相対的なものであることがよくわかります。