Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?
【環境技術・環境負荷低減】
海洋モニタリング
宇宙から、水中から、海を監視。土砂警告システムの開発!
作野裕司先生
広島大学
工学部 第一類(機械・輸送・材料・エネルギー系)輸送システムプログラム(先進理工系科学研究科 先進理工系科学専攻)
GoogleEarth操作・活用マニュアル
白鳥敬(日本実業出版社)
GoogleEarthは人工衛星データが身近になったフリーの地図ソフトで、今では当たり前のようにスマホなどにこのソフトを入れている人も少なくありません。この本は、GoogleEarthが世に出た頃2006年に出版された本で、少し内容は古くなっていますが、GoogleEarthの知られざる機能がたくさん紹介されており、眺めるだけでも楽しい本です。
宇宙から、水中から、海を監視。土砂警告システムの開発!
水の色、温度などの情報を人工衛星から得る
私の専門は、「リモートセンシング」と呼ばれる学問で、普段は主に海洋や湖における現象に対して、宇宙の人工衛星から得られる「水の色」、「温度」、「形」などの情報を使って、わかりやすく地図にする方法を研究しています。
西日本豪雨では土砂災害が海にも
そんな中、2018年夏に発生し自らも被災した「西日本豪雨」をきっかけに、本当に必要な「リモートセンシング」ということを強く意識しました。西日本豪雨では土砂災害が大きく報道されましたが、海に面した住民からは「海の情報はまるでなかった」という切実な言葉を聞きました。そこで、そのような海を舞台に生活している人々のために、「土砂流出警告システム」をテーマにしようと考えたわけです。
雲を消す技術で海の情報を衛星でとらえる
しかし、普通の衛星では雲があると映らなかったり、頻繁に撮影されなかったりします。
そのため、雲をとおりぬける合成開口レーダーという特殊なセンサを使ったり、頻繁に地球を観測している「ひまわり」衛星のようなデータのいいところどりをして、雲を消す技術を駆使したりして、確実に海の情報を可視化する方法を検討することにしました。
また、衛星は水中の状態はわからないので、水中の情報を確実に取得できる音響データを使ったり、未来の予測をするために数値シミュレーションを使ったりもします。
このように、現実の社会に役に立つ「リモートセンシング」を目指して、災害に強い「安心・安全」のための日本発のシステム作りに貢献できればと考えています。
海洋の水質汚染・プラスチック汚染に対して、衛星による持続的なモニタリングを行い、海洋環境の保全や環境意識の向上に貢献します。
松永恒雄
国立環境研究所 地球環境研究センター
【地球観測衛星の開発・データ処理】自分が学生の頃から国の第一線で活躍していた若き研究者(当時)であり、常に前向きに物事を考える姿勢に影響を受けました。
虎谷充浩
東海大学 工学部 光・画像工学科/工学研究科 電気電子工学専攻
【海色衛星の大気補正・データ処理】衛星海色センサの実用的な解析法などについて、常にわかりやすく、的確なアドバイスをいただける研究者です。
川村健介
国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター
【草地のリモートセンシング】元同僚で当時は若手ながら、新しい技術をすぐに取り入れ、多くの論文を量産するパワフルな研究者であり、刺激を多く受けました。
◆講義「リモートセンシング」初回授業では
GoogleEarthやサーモグラフィーを使った身近なリモートセンシングについて説明します。
◆作野先生の研究室紹介(日本リモートセンシング学会)
◆気球を使った広島大学における小中学生対象の海洋教育のとりくみ(日本船舶海洋工学会)
◆スマホのカメラで立体写真のしくみを知ろう!(国立大学56工学系学部HP)
◆リモートセンシング技術による地域貢献(広島大学HP)
◆主な業種
(1)船舶・機器
(2)自動車・機器
(3)通信
◆主な職種
(1)製造・施工
(2)システムエンジニア
◆学んだことはどう生きる?
卒業生は、衛星関係の情報処理を行っている会社に就職し、JAXAに出向するなど、大学で学んだリモートセンシングの知識を生かした仕事(衛星管制など)を行っています。また、大手通信メーカーに就職し、リモートセンシングを生かした応用業務(通信機器を使った環境情報の可視化など)を行っている卒業生もいます。さらに、県庁の行政職に就職し、地域の環境に関する政策を立案・実施する業務に従事している卒業生もいます。
私が所属している学科の「輸送・環境システムプログラム」は、車・船・飛行機などの輸送機器とそれをとりまく環境について教育・研究しています。私の専門は「リモートセンシング」と呼ばれ、非接触で環境を測定したり、人工衛星データなどのビッグデータを解析する手法の基礎を学ぶことができます。特に、沿岸の海洋関係をはじめとする水環境のリモートセンシング技術や水環境の災害対応は日本でも中心的な役割を果たしています。
「ものをはかる」しくみ 読んで納得!図解で理解!
関根慶太郎、瀧澤美奈子(新星出版社)
天気予報など、当たり前のように見ている情報も実は何らかの方法で測られています。普段気にしないそのような「ものをはかる」しくみを、この本はわかりやすく、興味が持てるように教えてくれます。私の専門であるリモートセンシング技術も多く紹介されています。
海の教科書 波の不思議から海洋大循環まで
柏野祐二(講談社ブルーバックス)
身近でありながら、あまり知らない海のこと。この本は、あまり知られていない海を調べる方法や、世界の海の最先端の研究でわかってきたことなどを、詳しく解説してくれます。高校生には少し難しいかもしれませんが、日本の海洋学は世界でもトップクラスの研究がされていますので、是非一度読んで海に興味を持ってほしいと思います。
とある弁当屋の統計技師(データサイエンティスト) データ分析のはじめかた
石田基広(共立出版)
最近、私たちの周りには情報が溢れすぎているため、データサイエンティストへの期待が高まっています。この本は、難しい統計学の基礎を弁当屋という舞台において、会話調でわかりやすく、かつ実践的に学べます。特に統計の知識がなくてもよく、高校生の知識で十分データサイエンティストの第一歩を体験できます。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?
環境工学
Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?
台湾。治安が良く、明るく、活気がある。
Q3.感動した映画は?印象に残っている映画は?
『アポロ13』
Q4.大学時代の部活・サークルは?
卓球
Q5.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?
恐竜化石の発掘