Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?
法学、経済学、社会学など社会科学系。高校では理系、大学は教育学部(文系)で、技術科(理系)の教育学(文系)に関する研究をしているため中途半端なので、完全な文系の研究をしたいと思っています。
【科学教育】
技術教育
小中学校にもっとエンジニアリング教育を
谷田親彦先生
広島大学
教育学部 第二類(科学文化教育系) 技術・情報系コース(人間社会科学研究科 教育科学専攻 教師教育デザイン学プログラム)
小中学校にもっとエンジニアリング教育を
新たな製品やシステムを創造するエンジニアリングが求められている
「世界を変える」には人を育てる必要があります。人を育てるためには学校の「教育」が重要です。医学や工学などと比べると地味な教育学の研究ですが、一学年に約100万人が在籍する小・中学生がいずれは社会人になると考えれば、「世界を変える」ことに少しは貢献できていると考えています。
近年では、プログラミング教育やSTEM教育(Science, Technology, Engineering, Mathematicsの頭文字)など、新たな製品やシステムを創造する工学的な活動(エンジニアリング)を含んだ教育の考え方が提唱されています。
小学校の図画工作科、中学の技術科で、効果的な教育を
エンジニアリングは小学校の理科、図画工作科、中学校の技術・家庭科技術分野などに関係します。しかし、各学校段階で扱われる教科は異なり、エンジニアリングに関する共通認識がない状態では、効果的な教育ができません。
そのため、日本の小学校、中学校においてエンジニアリング教育の目標・内容に関する指針を作成し、適切な教育方法を開発することを目指した研究を進めています。
プログラミングやデジタル・ファブリケーション
具体的には、学校教育におけるエンジニアリングとは何を指すのか、どのような活動として位置づけるのか等を明確にするとともに、それに沿ったプログラミングやデジタル・ファブリケーション(3Dプリンタなど)に関する教育プログラムを開発しています。未来の世界を創造する子どもたちの能力育成に貢献できるよう取り組んでいます。
2016年、イギリスのダイソン本社で行ったエンジニアへのインタビュー調査での一枚。
左は大谷先生(東京学芸大学),右は磯部先生(愛知教育大学)。
これからの社会では、情報通信技術等による様々な変革(イノベーション)が期待されています。このようなイノベーションを牽引するためには、多様な問題解決を図る技術開発を行う能力の育成が求められます。一方で、変革されようとする社会の是非を多様な観点から判断・評価する能力も重要です。
これらの能力は技術開発等に関わる生産者だけでなく、技術を利用して生活する市民にも必要であり、未来を創造する国家や社会の形成者に関わる能力として考えられます。私はこれらの能力を技術・エンジニア教育を通して育成したいと考えています。
◆先生が心がけていることは?
「10.人や国の不平等をなくそう」…不平等でおかしいことや不公平だと思うことについて、敏感に考えていると思います。
大谷忠
東京学芸大学 教育学部 中等教育教員養成課程/教育学研究科 教育実践専門職高度化専攻
技術科教育に関する内容研究として、木材を中心とした材料学・材料加工学に関する研究をしています。日本科学教育学会で、技術教育の普及に関する研究活動をともにしてきました。大胆さと繊細さが同居した研究に対する思考に影響を受けました。
◆1年生前期「中・高等学校教育実習入門」の最初の講義では
針金とラジオペンチを使ってゼムクリップを製作します。その後に学校の授業で用いる用語を学習します。例えば、クリップの製作を通して針金の性質を知ることが授業の目標であるならば、針金は「教材」であり、ラジオペンチは「教具」であることを説明します。
学会発表後の食事にて。左は田中先生(当時大学院生,現広島市立古田中)、中は天川先生(野田学園中・高等学校)。
◆主な業種
(1) 小・中学校、高等学校、専修学校・各種学校等
(2) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
(3) コンピュータ、情報通信機器
◆主な職種
(1) 中学校・高校教員など
(2) 小学校教員
(3) システムエンジニア
◆学んだことはどう生きる?
中学校技術科の教員として活躍している卒業生が多いです。先生の研究会として各地で開催される中学校技術・家庭科研究会で、参加・発表しています。大学で学んだ技術科の授業に対する目標・内容・方法・評価に関する知識やスキルを活かし、教材の開発や授業の実践の研究を進めています。
広島大学教育学部技術・情報系コースでは、技術・情報教育について目標、内容、方法を探究していく中でSociety 5.0に対応した技術的素養を形成し、技術教育関連の幅広い分野で活躍できる人材を育成します。マテリアル加工技術、メカトロニクス技術、情報技術、及び技術・情報教育学に関連する幅広い研究テーマを設定できます。また、中学校技術科、高等学校情報科、工業科の教員免許を取得することが可能です。
自分を知るための哲学入門
竹田青嗣(ちくま学芸文庫)
大学生の時に哲学の授業のテキストとして読んだ本。「哲学すること」と「哲学を学ぶ」ことの違いを知りました。「考えるとは何か」をはっきりさせたい人におススメです。
歴史の「普通」ってなんですか? 忘れられた庶民の伝統
パオロ・マッツァリーノ(ベスト新書)
「昔は違った」「最近の日本は」などについて誤解していることを資料などの明確なデータから論破している本。論述の仕方を学びたい人におススメです。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?
法学、経済学、社会学など社会科学系。高校では理系、大学は教育学部(文系)で、技術科(理系)の教育学(文系)に関する研究をしているため中途半端なので、完全な文系の研究をしたいと思っています。
Q2.感動した映画は?印象に残っている映画は?
『ファイト・クラブ』と『マトリックス』。前者は生身の肉体、後者はバーチャルという相対的なテーマを扱っています。ともに1999年の作品で、大学院生の時に観ました。
Q3.熱中したゲームは?
中学生、高校生の時に『ドラゴンクエスト』と『ダービースタリオン』。反射神経いらない系にハマり、一日中熱中しました。大学入学後、ゲームはほとんどしていません。最近は息子と一緒に『ポケモントレッタ』と『Pokémon GO』をやっています。
Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?
広島ビックアーチ(現在はエディオンスタジアム広島)の観客席の空席に横断幕を設置するアルバイト。開場前に横断幕をセットして、試合前、試合中は安全・防火上の理由で見張り、試合後に片付けるお仕事です。Jリーグ、サンフレッチェ広島の試合を観戦でき、時給も良かったです。
Q5.研究以外で楽しいことは?
サウナ。昔から好きです。