Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?
やっぱり社会学。
【社会学】
アカデミック・ハラスメント
アカデミック・ハラスメントを減らすために、医学研究の現場を分析する
北仲千里先生
広島大学
ハラスメント相談室
トゥルーマン・ショー(映画)
ピーター・ウィアー(監督)
現代社会の私たちは、現実に生で会ったことのある人だけではなく、メディア(マスコミやインターネット)を通していろんな人のことを知り、その人の生活や人生にも興味を持っていきます。だけどそれは、他人の人生を娯楽の対象として残酷に消費していくことでもあります。それに、ネットやテレビを通じて流されている情報が真実だとは限りません。それは誰かがあなたに伝えている情報でしかないのです。
アカデミック・ハラスメントを減らすために、医学研究の現場を分析する
研究の世界での過競争やいじめ
日本や世界にはたくさんの科学者、研究者がいて、新しい発見を目指して、チームで共同研究をしていたり、野山や海に行って観察したり、一人でこつこつと資料を調べたりしています。
中には巨額の資金がないとできないような研究もあれば、大量の外国語の文献を読まないとできないような研究、たくさんの人間と会って話をしなければできない研究もあります。また、研究者の世界の中にも、激しく競争し合うことがあったり、いじめ(「アカデミック・ハラスメント」)があったりします。
研究不正や権力闘争もある
医学部の研究者たちの分野「バイオメディカル」は、いわばスターです。IPS細胞研究のノーベル賞受賞や、「STAP細胞」事件のようなことも起こります。巨額の研究費がつぎこまれ、研究成果が出たときの反響も大きいものです。
そのため、「研究不正」(データ改ざん、他人の研究を盗む、研究ねつ造)も起こります。そこでは、「白い巨塔」と呼ばれる独特の権力関係や競争もあります。日本の医学部独特の慣行もあります。
研究のしかたや上下関係、いじめを調査
そこで、私たちは彼らの研究はどんな風に行われているのか(「サブカルチャー」)と、研究者同士の上下関係(例えば、医学部教授の権力は、他とは違う強力なものです)、そしてどんないじめが起こっているのかをインタビューやアンケート調査などで研究しています。それらを分析することによって、日本でのアカデミック・ハラスメントを減らしていきたいと思っています。
2020年9月COVID-19とDVに関する国連会議(UN Women & 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP))
9月16日、オンライン専門家会議「コロナ・パンデミックにおける北京+25公約の実施:女性に対する暴力への対応」
にて、アジア・シェルターネットワーク(AsianNetwork of Women’s Shelters(ANWS))の理事として
「女性に対する暴力の廃絶―コロナの経験から」を報告しました。
(最下段・右から4番目が北仲先生)
すべての人の研究が公正に扱われることによって、世界全体での科学の発展があるということになります。しかし、たくさんの国で、公正でない科学者の行動があったり、私利私欲の追求によって知識が独占されたりしています。
◆先生が心がけていることは?
性暴力やDVの被害者を支援するためにNGOとして活動しています。
2019年 名古屋大学で講演を行った際の一枚(前列中央が北仲先生)
◆Goethe-Institut Japan#STUDIO202X シリーズ1 第4回 「コロナ禍とメンタル – 孤立と不安、そして権力」2020年4月(Youtube)
◆Domestic violence surging amid lockdowns (NHK world news 2020年4月16日)
2017年8月 台湾総統府にアジア各国の代表とともに副総統を訪問して懇談
(前から3列目、左から2番目が北仲先生)
13歳のハローワーク
村上龍(幻冬舎)
みんなとにかく、世の中のリアルな情報をちゃんと知っておいた方がいいです。世の中にはどんな仕事があるのか、給料はどうやって計算されて支払われるのかなど。そういうことを知っているという前提で、テレビや新聞のニュース報道や、大学の社会学の授業があったりします。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?
やっぱり社会学。
Q2.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?
大学の先生のおうちの晩御飯を作るバイト。
Q3.研究以外で楽しいことは?
音楽。それとイギリスのTVドラマを視ること。