Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?
アメリカです。日本と比べて暮らしやすく思う点がたくさんあります。でも、やはり日本のほうが良いです。
【英米・英語圏文学】
アメリカ文学
普通の人々の物語を、アメリカ文学から掘り起こす
久保拓也先生
金沢大学
人間社会学域 学校教育学類 教科教育学コース(人間社会環境研究科 国際学専攻)
よくわかるアメリカ文化史
巽孝之、宇沢美子(ミネルヴァ書房)
アメリカの歴史をたどりながら、その文化や社会の特異性を丁寧に解説します。頭から通読するより、「とにかく好きなところから、自由に」、例えば本書の「はじめに」より読んでいくことで、この国の全体像が楽しく学べます。
普通の人々の物語を、アメリカ文学から掘り起こす
歴史に埋もれた人々にスポットライトを
私はアメリカ文学の中でも、特に19世紀に書かれた作品やその作家たちに興味があります。アメリカは、その歴史的発展の中で立ち現れた様々な矛盾をすら推進力として、現在の形へと作られてきたと思います。この研究は、歴史の動きの中で顧みられなかった人々の存在を考察するものです。
普通の人が歴史を支えてきた
文学作品の中で、あるいはそれに限らず映画でも漫画でもいいのですが、活躍するのはどういう人たちでしょう。「天才」と言われる人々に代表されるような、何らかの特殊な能力を持っている人でしょうか。冴えないように見えていても、実は傑出した才能を持つことがわかったり、成長の過程で素晴らしい魅力が発見されたりする、「普通ではない」人たちが多いでしょうか。
私たちの世界において、またこれまでの歴史において、社会を形作り、歴史を支えてきた人たちのほとんどすべては、そういう人間たちではありません。
弱い人々の声を聴く
社会は総じて、弱く、悩み、特殊な能力などに恵まれることもなく、人生に不満を持ち、そしてその人生について語り尽くすような「自伝」を残すこともなく、歴史から知られることなく消えていく「普通」の人々が作ります。
私の研究は、そのような「普通の」、あるいは社会を支えながらもそこからはじき出されてしまったような「弱い」人々の声を、文学作品はもとより、読まれることもなく埋もれてきた個人的な手紙などの文書を読み解くことから、アメリカという国とアメリカ人のあり方について考察しています。
アメリカでの研究発表の模様です。世界中のマーク・トウェイン研究者が4年に一度集まり、3日間びっしりと研究発表とシンポジウムが行われます。この場所で発表することを毎回目標にしています。
男性にも苦しみと喜びの歴史があることを、落ち着いた視点で見るための方法を提供したいです。過去を振り返ることで終わらず、そこから学び、未来のより良き社会を実現するための道標となる研究となるはず。
◆先生が心がけていることは?
まずは受け入れること。
石原剛
東京大学 教養学部 教養学科/総合文化研究科 超域文化科学専攻
日本におけるマーク・トウェイン研究の、若い世代の中の第一人者だと思います。日本の歴史におけるトウェインの作品の影響について、徹底的なリサーチと考察を行っています。
藤井光
同志社大学 文学部 英文学科/文学研究科 英文学・英語学専攻
現代アメリカ文学研究の若手の中でとても強い影響力を持つ方だと思います。翻訳者としてもつとに知られますが、研究者としての実力にただただ驚嘆します。
中垣恒太郎
専修大学 文学部 英語英米文学科/文学研究科 英語英米文学専攻
若手のアメリカ文学・文化研究者の中で驚くほど広い考察範囲を持つ優秀な方です。その仕事量には驚くばかりです。
アメリカの文学や文化を紹介する授業の様子
◆主な業種
(1)小・中学校、高等学校、専修学校・各種学校等
(2)官庁、自治体、公的法人、国際機関等
◆主な職種
(1)小学校教員
(2)中学校・高校教員など
◆学んだことはどう生きる?
インドネシア出身の女性を、大学院の修士課程で指導したことが特に心に残っています。研究を開始したばかりの時は、自分の中に根ざしていた社会的な、特に学問的な、文化の違いに戸惑っていましたが、柔軟に自分を適応させ、充実した時間を過ごしていたと思います。日本で学んだことで自らの可能性に気づき、将来は研究者となろうと強く決意したようです。現在は夢を実現させるため、博士課程への進学を目指して準備中です。
英語の先生を養成する学科ですので、学生たちは主にその目的のために努力を続けます。教師は専門家であると同時に、広い視点を持つことも必要です。専門課程では、英語自体や英語の教え方について学ぶのはもちろん、英語に関する知識、英語圏の文学や文化などを広く深く学んでいきます。教師になるために、あるいはならないとしても、この課程で学ぶ様々な専門科目は、学生が社会に出た後の視点を育ててくれるものになっていると考えています。
アーサー王宮廷のヤンキー
マーク・トウェイン、訳:大久保博(角川文庫)
最近の漫画などにとても多い「転生もの」の物語です。19世紀のアメリカ人技術者ハンク・モーガンが頭を殴られて気絶。目を覚ましたらアーサー王の時代、6世紀のイギリスに転位しているとわかります。彼は最新の技術や科学知識を武器に、この国を作り替えようとしますが、果たして……。
男らしさの終焉
グレイソン・ペリー、訳:小磯洋光(フィルムアート社)
いわゆる「伝統的な男らしさ」が現代の社会にそぐわなくなってきていることを、様々な事例を元にわかりやすく語っています。長い人生において大切になる「新しい男性性」とは何かについても、興味深い知見を得られます。
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?
アメリカです。日本と比べて暮らしやすく思う点がたくさんあります。でも、やはり日本のほうが良いです。
Q2.感動した映画は?印象に残っている映画は?
『Any Day Now』(邦題『チョコレートドーナツ』)
Q3.研究以外で楽しいことは?
落語や講談を聞くこと。話術を学ぶ目的もありますが、何より楽しい。
Q4.会ってみたい有名人は?
伊集院光さん