【教科教育学】
小学校の英語教育
大事にしたい!英語でコミュニケーションしたい気持ち!
瀧沢広人先生
岐阜大学
教育学部 学校教育教員養成課程 英語教育講座(教育学研究科 総合教科教育専攻)
ターミナル(映画)
スティーヴン・スピルバーグ(監督)
主人公のビクター・ナボルスキーは、彼の母国クラコウジアの内乱により、アメリカのジョン・F・ケネディ空港での入国審査を通れずにいました。クラコウジアへ戻ることもアメリカへ入国することもできないビクターは、空港のロビーで足止めを受けながら空港で働きます。言葉が通じないアメリカで、彼がどのようにコミュニケーションを図っていくかを考えさせられる映画です。
大事にしたい!英語でコミュニケーションしたい気持ち!
伝えたいことがあるから言葉を使う
Willingness to Communicateとは、「コミュニケーションを図ろうとする意思」になります。私たちは母語を獲得してきましたが、実は、言葉が最初にあったのではなく、コミュニケーションしたい気持ちが先にあります。
つまり、何か伝えたいことがあるから言葉を使うのです。これは乳児を見ればわかります。不快な思いをすれば、「泣く」というコミュニケーション手段を使います。また、伝えたいことがあれば「指さし」を行います。言葉が出る前から、ヒトはコミュニケーションを図ろうとします。
外国に興味があるほど、コミュニケーションを図ろうとする気持ちがある
元々、このWillingness to Communicate(以下WTC)は、第一言語において開発された考え方であり、それを第二言語環境下で応用させ、発展させたものが現在の形になっています。そして周りに第二言語の環境がある所では、コミュニティへの関心が高い人ほど、WTCは高くなるという研究データがあります。
しかし日本は第二言語使用の環境下はありません。そこで、関西大学の八島智子教授は、「国際的志向性」という概念を用いて、第二言語環境下でない国では、「外国に興味を持つ」「身近に外国人がいたら親切にしてあげたい」等という項目を設け調査しています。その結果、国際的志向性が高い人は、WTCが高いという調査結果を発表しています。
教師のWTCに注目
実際、中・高校の授業においても、「英語学力」に加え「コミュニケーションを図ろうとする態度」が重要視されています。つまり、「英語力」と「コミュニケーションを図ろうとする態度」は、どちらが欠けてもうまく動かない自転車の両輪みたいな関係と言えるでしょう。
私の研究では、2020年度から始まった小学校外国語教育で、小学生に対してのWTCの調査は、千葉大学の物井尚子准教授により既に行われていますので、肝心の教師のWTCはどうなのだろうか、ということから、調査研究をしているところです。
弁証法はどういう科学か
三浦つとむ(講談社現代新書)
哲学である「弁証法」を、科学(=事実)を通し、弁証法にメスを入れた名著。世の中は弁証法により成り立っており、高校生の皆さんが大学生、大人となる過程において、物事を弁証法的に捉えることで物事の考え方の理がわかり、人生や仕事を豊かにしてくれる「考え方」の本です。
私は大学生の時にボロボロになるまで深く読み、今でもその本は、私の大学時代の歩みとして大切に取っておいてあります。と同時に、もう1冊、真っ白な本書も持っており、私の人生のお守りのように思っています。