Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?
スポーツが文化として根ざすドイツでのんびりと
【教育学】
授業改善
今こそ、小さな学校・異学年合同の「学びあい」のよさを
清水将先生
岩手大学
教育学部 学校教育教員養成課程(教育学研究科 学校教育実践専攻)
今求められる学力と学びとは コンピテンシー・ベースのカリキュラムの光と影
石井英真(日本標準ブックレット)
混迷を続ける教育改革の中で、大学入試の選抜方法の変更や混乱、COVID-19による学校の休校や教育格差等、高校生の皆さんの心中を察すると言葉もありません。大変な時期に生きるからこそ、次世代を作るために多くのことを学び、力に変えて欲しいと思います。
学力や学びとは、何を期待されているのでしょうか。新学習指導要領で実現が目指されるのは、単なる入試のための学力や学びではないはずです。世界で目指されるwell-beingを実現するための学びと、その評価についての入門となる本です。教員になりたい人や教育に興味がある人の興味や関心を高めてもらうために、難しい内容ですが、一読をおすすめします。
今こそ、小さな学校・異学年合同の「学びあい」のよさを
学校統廃合で、地域を支える人材育成に懸念
良い授業を作るためのお手伝いで、沖縄から北海道まで離島や中山間地も含めた様々な学校を訪ねています。その地域にしかない豊かさであっても、今では交通やICTの発達によって、どこへでも届けることが可能です。
そこでは、子どもたちが豊かさと厳しさとともに地域を支える人材に育っていました。しかし、地方では少子化によって学校の統廃合が進んでいます。子どもの声が聞こえない地域は、寂しいばかりでなく、いずれ産業の担い手がいなくなることも避けられません。その影響が近い将来に都市の便利な生活に及ぶことも懸念されます。
下と上の学年が学びあう複式学級
学校は、地域を持続させることに貢献しています。かつては、全国に複式といわれる異学年合同の授業を行う小さな学校がたくさんありました。
経験した方もいると思いますが、この授業では、先生から教えてもらうだけではなく、下と上の学年、同学年の学びあいがあります。社会で必要とされる学びと似たこの構造は、小さな学校ならではの魅力です。
ICTを活用して授業や教育を変える
これまでは一斉に教えられる授業が主流でしたが、学びの中では、先生と子どもたちが教える・教わるという単純な関係ではなくなっています。
できない原因を教え方に求めて授業を改善し、どうしたらみんなができるようになるかを考えるのが指導と評価の一体化です。みんなが幸せになる世界を作るためには学校や学びが変わらなくてはなりません。そんな教育の変革をICTの力を借りて実現したいと思っています。
研究によって、COVID-19による感染状況下でも、遠隔・合同の授業の新たな工夫ができました。双方向のコミュニケーションは、子どもたちを知る先生がいてはじめて最適化された授業として効果を発揮します。先生の成長が子どもたちの学びを支えたのです。教師の熟達は、AI(人工知能)には、未だ再現できない部分でしょう。先生や子どもたちを支える研究によって学校に笑顔を取り戻せるようにこれからもがんばります。
小さな学校が地域に根ざすことによって、地域を支える人を育て、地域社会の存続につながることを期待しています。SDGsで示されるように持続可能な社会は重要な課題となっていて、そのひとつの達成方法として学校が地域社会の重要なコミュニティとなり、学校施設があれば教育だけでなく、福祉や医療の面でも活用することも可能なはずです。
これらのインフラの確保は、若い世代の居住と産業の維持を支援し、社会全体のwell-beingの実現に寄与すると考えています。
◆先生が心がけていることは?
地域・地方の良さを広める
◆体育科教育研究室では
体育のよい授業についてディスカッションを重ね、学生と教材をつくり、学校現場と協働して授業をおこなって、実践的に改善を図ります。状況に埋め込まれた学習や拡張された学びにおける越境の視点を参考に、学ぶ環境をどうつくるかについても関心があります。社会に出てからも信頼される人間となるように成長することを大事にしています。
◆主な職種
(1) 小学校教員
(2) 中学校・高校教員
◆学んだことはどう生きる?
地域を支える教育に全力を尽くすことや学校でも情報発信力のある教師となることに活かされています。自らが成長するために授業を振り返って実践する習慣が形成され、多様性を理解して主体的に学ぼうとする子どもたちを育てることにも役立っています。
教員養成系の教育学部は、教員免許状の取得が必須となります。本学部では課程制をとって多くの学問分野を学べるようになっています。旧制師範学校から現代に続く歴史があって、義務教育の学校教員を養成することが主な目的です。地元岩手に立地する特色を活かし、学校安全学を必修にするなど防災教育・復興教育に強みがあります。
大学院は教職大学院にすべて改組され、教員の成長のための方法論として振り返りを重視し、科目にも取り入れて即戦力となる新人教員とミドルリーダーとなる中堅教員、管理職や指導主事といったリーダーとなる教員を輩出しています。
「学び」の構造
佐伯胖(東洋館出版社)
「学び」についての本です。ありふれたテーマですが、よく考えてみると新たな発見がたくさんあります。また、学んだ成果、できばえをどう考えるかという評価についても書かれていて、これらを通して人を教えるということを考えてみてください。
「文系学部廃止」の衝撃
吉見俊哉(集英社新書)
文系は役に立たないという問題意識に対して、価値創造という役割が説かれています。大学で学ぶということが何か、勉強とは違う学びの意味を考えるきっかけとなるはずです。大学に入る前にその意義を知っておくことは、学部を選ぶ時にも役に立つはずです。
離島発 生き残るための10の戦略
山内道雄(NHK出版)
ピンチをチャンスに、ハンディキャップをアドバンテージに。「ないものはない」をキーワードに過疎化・少子化・高齢化の離島を日本の縮図として捉え、情熱で人を呼び込み、最適解、納得解を導き出すリーダーの言葉です。幸せのあり方を考えさせられます。
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?
スポーツが文化として根ざすドイツでのんびりと
Q2.感動した映画は?印象に残っている映画は?
チャップリンの『キッド』 愛情が伝わってきますね
Q3.研究以外で楽しいことは?
娘の「鬼滅の刃」コソコソ話を聞くこと 全集中です