Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?
薬学
【会計学】
ネットショッピング
顧客への商品提案で、ネットショップの売上アップ
君島美葵子先生
横浜国立大学
経営学部 経営学科(国際社会科学府 経営学専攻)
さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学
山田真哉(光文社新書)
この本は、大学で会計を学ぶ入り口としての位置づけになりますので、まずは全体を通読してみてください。タイトルにもあるように、さおだけ屋が潰れない理由をはじめとして、日常生活の身近な例が会計の目線で説明されています。
この本を読んだ後に、もう少し専門用語が並んだ本を読みたくなる人がでてくるかもしれません。その時にはぜひ、本格的な会計の本を読んでみてください。また、本を読むことと並行して簿記を学ぶのもいいですね。公認会計士や税理士などの会計の仕事を調べることもお勧めします。
顧客への商品提案で、ネットショップの売上アップ
受注やアフターサービスを行う「顧客接点業務」
私は会計学を研究しており、企業が思いやりを持って世の中に尽くすことを前提として、いかに売上を獲得するか、を追求しています。
私の研究対象は、インターネットショッピングを運営している企業です。そして、企業がインターネットショッピングを快適に運営するための仕組み作りを目的としています。
インターネットショッピングの運営には、商品の受注やアフターサービスなどの顧客対応業務があります。私はこの業務を「顧客接点業務」と呼びます。
商品提案~購入へのシナリオがあると効果的
企業が顧客接点業務を管理する上での課題は、お客さまとのコミュニケーションを通じて、業務担当者がいかに「提案」を行うかです。この場合、業務担当者がお客さまの悩みを聞いて商品提案を行い、商品を購入する流れを生むシナリオの準備が効果的です。
このことは、私の研究で「レベニュー・ドライバー(売上獲得の要因)」という言葉と結びつきます。つまり、業務担当者の提案がレベニュー・ドライバーとなりうるのです。
人工知能や統計学など他分野とも交流
現在の顧客接点業務は、人によるものが多いですが、一部の企業ではチャットボットという対話ロボットを導入し始めています。
私にとってロボットのメカニズムは未知なるものです。新たなレベニュー・ドライバーを発見するためにも、最近私は、マーケティング・統計学・人工知能などの他分野の研究者と情報交換をしています。
他分野との学術的交流によって、会計学に新たな知見がもたらされることを期待しています。
木村晃久先生
横浜国立大学 経営学部 経営学科/国際社会科学府 経営学専攻
会計学研究の研究者で、主に財務会計に関する実証研究をテーマにしています。「日本の連結損益計算書における損益項目の表示区分操作」に関する研究を行っており、その研究内容を著書として出版(2019年)されました。著書『損益の区分シフト:経常利益の調整実態と株価への影響』が日本会計研究学会(日本の会計学研究で一番規模が大きい学会)の太田・黒澤賞を受賞しました。会計学の新進気鋭の研究者です。私の同僚なので日頃から情報交換をしていますが、研究への取組姿勢、考え方を伺うと様々な気付きを与えてくれます。
講義の最初に学生への指導として、以下の本を読むように伝えています。
・稲盛和夫(2000)『稲盛和夫の実学 経営と会計』(日経ビジネス人文庫)
・山根節(2015)『「儲かる会社」の財務諸表 48の実例で身につく経営力・会計力』(光文社新書)
◆主な業種
(1)金融・保険・証券・ファイナンシャル
(2)法律・会計・司法書士・特許等事務所等
(3)官庁、自治体、公的法人、国際機関等
◆主な職種
(1)経理・会計・財務、金融・ファイナンス、その他会計・財務・金融系専門職
(2)営業、営業企画、事業統括
(3)経営者、会社役員
◆学んだことはどう生きる?
税理士法人で、企業経営のコンサルティング業務をしている卒業生がいます。この卒業生は、私の専門学問(管理会計論)で学んだ知識を使って、お客さまである「企業」が抱える経営上の課題を会計(お金)の視点から発見・解決する仕事をしています。
横浜国立大学経営学部では、経営学に関連した、幅広く専門性の高い知識を修得できます。会計学分野では、ビジネスパーソンに必須である会計学の学術的知識を身につけ、企業が直面する課題を発見・解決する能力を育成します。当分野は、コンピュータを活用したeラーニングシステムを導入しています。このシステムは、学生の理解を促進するために講義と連動しており、学生の時間外学修を促すツールとして役立ちます。
レポートの組み立て方
木下是雄(ちくま学芸文庫)
この本は、書くスキルにつながります。
皆さんが大学に入学すると、授業でレポートを書く機会がたくさんあります。大学で書く文章では特に「自分の意見と事実をうまく書き分けること」が求められます。ここで「自分の意見」と「事実」との違いがわからない人は、実際にこの本を読んでみると良いでしょう。
レポートなどの具体例を挙げて説明しているので理解しやすいと思います。すでに文章の書き方のトレーニングを受け、文章を書くことに慣れている人は、本の目次を見て自身で苦手なところや弱いところだけを読んでも力がつきます。
論語と算盤
渋沢栄一(角川ソフィア文庫)
この本は、これからの生き方で参考になり、学び方にもつながり、かつ仕事も知ることができる本です。
高校生は学校で論語を勉強するかと思います。実は論語が商売とつながります。皆さんは、タイトルにある「算盤」を知っていますか。これは計算するためのツールですが、暗に「商売」を意味します。この本における渋沢氏の主張は、商売することと、世の中に尽くすことを両立する、ということになります。この主張は、商売に限らず様々な局面で使えると思いませんか。
この「論語と算盤」を「論語と○○」として、皆さんの生活に当てはめてみてはいかがでしょうか。
ビジネスマンの父より息子への30通の手紙
キングスレイ・ウォード、訳:城山三郎(新潮文庫)
この本は、これからの生き方で参考になる本です。
ビジネスで成功した著者が、企業家を目指す息子宛に書いた手紙をまとめたものです。これらの手紙は、遭遇する人生のあらゆる場面(試験、友情、実社会への出発など)での教訓が優しい言葉でつづられています。
著者が人生を通じて得た「礼儀正しさにまさる攻撃力はない」「友情は手入れしよう」といった様々な教訓は、普遍の真理と言えます。大学入学後、皆さんはアルバイトなどを通じてビジネスに触れることになるかと思います。この本に書かれている「教訓」を意識して行動してみたらいかがでしょうか。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?
薬学
Q2.一番聴いている音楽アーティストは?
三浦大知さん。特に、『Anchor』が好きです。
Q3.感動した映画は?印象に残っている映画は?
『ドリーム』
Q4.大学時代の部活・サークルは?
点字サークル。点訳本(文字を点字に翻訳した本のこと)の製作や、視覚障がい者の方々とボランティア交流をしていました。
Q5.会ってみたい有名人は?
中畑清さん(野球解説者・評論家)