Q1.感動した映画は?印象に残っている映画は?
『Nanook of the North』
【人文地理学】
救援物資輸送
南海トラフ地震に備える!被災地に救援物資をどう届けるか
荒木一視先生
立命館大学
食マネジメント学部 食マネジメント学科(食マネジメント研究科 食マネジメント専攻)
救援物資輸送の地理学 被災地へのルートを確保せよ
荒木一視ほか(ナカニシヤ出版)
本書は、私たちの研究テーマを一般書としてわかりやすくまとめたものです。私たちは震災後ではなく、震災前を生きています。有事にどうするかということを有事に決めている暇はありません。平時に準備しておくしかないのです。すなわちそれが今です。
災害に立ち向かうのに理系も文系もありません。お互いの能力を出し合って、力を合わせて対処するしかありません。若い皆さんには、ぜひそのことに気がついてほしいです。
南海トラフ地震に備える!被災地に救援物資をどう届けるか
道路が海岸沿いにある紀伊半島や四国で
私が取り組んでいる研究は、南海トラフ地震が発生した時に、どのようにして被災地に救援物資を届けるのかということです。
紀伊半島や四国では、主要な道路や鉄道は海岸沿いを通っています。また、急峻な山地に散在する集落では高齢化が進んでいます。これは主要な交通路が内陸を通り、比較的傾斜がゆるやかな東北地方とは決定的に異なります。
東北で行われた救援物資輸送の方法は、南海トラフ地震には適用できません。さあ、どうしたらいいのでしょうか。そのためには、被災地と被災しなかった地域を結ぶ輸送ルートの災害に対する脆弱性を評価し、必要に応じた迂回ルートを設定していく必要があります。
緊急時の物資の量を把握、輸送をシミュレーション
また、単なる集落の配置や人口の分布だけでなく、平時の食料や医薬品、燃料などの供給の仕組みを把握することから、緊急時にどこにどのくらいの物資が必要となるかを想定する必要があります。
さらに、これらの情報をベースとして実際に災害が発生した時に、どうやって物資輸送をオペレーションしていくかをシミュレーションする必要があります。それに地理学の研究を総動員して取り組んでいます。
私たちは「震災前」を生きている
間違いなく、私たちは「震災前」を生きています。必ずそれはやってきます。ただし私たちは私たちの未来を変えることができます。「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ(アラン・ケイ)」という言葉があります。私たちは今よりも安全な未来を発明するのです。
和歌山県御坊市の避難タワーにて
あえて言えば、「住み続けられるまちづくりを」と言えるのかもしれませんが、そもそも私はSDGsについては少なからず懐疑的です。もちろん取り組む目標は悪いことではないのでしょうが、こうしたお題目が掲げられると、その言葉自体が一人歩きしたり、その言葉を笠に着たような輩が跋扈したりします。むしろ、学者はそうした運動の裏側に隠されているものをこそ見抜く力を持っていなければなりません。17の目標などは今に始まったことではありません。今さらそのお先棒をかついで悦に入るつもりもありません。あまり貢献しているとも言えませんね(笑)。
学会での発表
農業・農村や食に関わる地域研究の中堅若手を紹介させていただきます。
湯澤規子
法政大学 人間環境学部 人間環境学科/公共政策研究科 サステイナビリティ学専攻
食の履歴書をキーワードに、ライフヒストリーから地域を読み解く研究をしています。名古屋大学出版会から『胃袋の近代 食と人びとの日常史』を上梓しているように、彼女の研究は胃袋の研究といえます。ただし、医学や栄養学ではありません。地理学、社会学、経済史といった側面からの胃袋の研究です。
目下取り組んでいるのは救援物資輸送の研究ですが、それは食の地理学の多様なアプローチの一端で、授業としては地理学を担当しています。
◆講義「食の地理学」の初回授業では
どこで何を食べているのかという知識は、あまり重要ではありません。それより、皆さんはカレーやコーヒーやバナナが好きでしょう。いずれも熱帯の食べ物です。そもそも日本にはなかったものです。でも、どうしてそれらを好んで食べているのでしょう。それを考えるのが「食の地理学」です、と話しています。
これからドローンをとばすところ
※まだ当該学部からは卒業生を送り出していません。想定される業種、職種です。
◆主な業種
(1)食品・食料品・飲料品
(2)商社・卸・輸入
(3)小売(百貨店、スーパー、コンビニ、小売店等)
◆主な職種
(1)商品企画、マーケティング(調査)
(2)サービス・販売系業務
(3)栄養・調理関連業務
◆学んだことはどう生きる?
立命館大学食マネジメント学部は新設の学部で、まだ卒業生を送り出していませんが、前任校の山口大学で指導した学生で「山口市にスタバはできるか」という卒論を書いた人がいました。彼女はこの卒論がきっかけで、当時のスタバのCEOと懇意になりました。ちなみに彼女の今の仕事は小学校の先生ですが、食の地理学の分析スキルを身につけると、たとえば企業のCEOの目に留まるような卒論を仕上げることだってできます。
食マネジメント学部というちょっと変わった学部では、食に関わる様々な研究者が同居し、食科学の構築を目指しています。私はそこに食の地理学の専門家として参加しているわけですが、本来専門のまったく異なる人文科学、社会科学、自然科学の研究者が、「食」というキーワードを中心に、学際的な研究に取り組んでいます。
いのちの食べかた(映画)
ニコラウス・ゲイハルター(監督)
ドイツの映画です。日本では2007年に公開されました。食産業で働く人を映し出すだけの映画で、BGMもナレーションも何もありません。ただし、その破壊力は絶大です。
Q1.感動した映画は?印象に残っている映画は?
『Nanook of the North』
Q2.熱中したゲームは?
『ドラゴンクエスト』
Q3.大学時代の部活・サークルは?
アウトドア系(山登り、スキューバダイビング他)
Q4.研究以外で楽しいことは?
消防車のミニカーの収集
怪獣が出現した時の救援物資輸送のあり方を検討しているところ(!)