【国際法学】
国際裁判所
執行機関なき国際裁判が、国際紛争の解決に果たす役割とは
河野真理子先生
早稲田大学
法学部/商学部(法学研究科 公法学専攻/法務研究科 法務専攻/アジア太平洋研究科 国際学専攻)
東京裁判(映画)
小林正樹(監督)
東京裁判のドキュメンタリー映画です。第二次世界大戦後のニュルンベルクと東京の国際軍事裁判所では、歴史上初めて国際法上の手続で、人の国際法上の犯罪が裁かれました。
国際的な裁判手続で、国家間の国際紛争だけでなく、個人の国際法上の責任についても論じられ、判断が下されたのです。これらの裁判所の経験は、第二次世界大戦後の国連の活動にも大きな影響を与え、現在は国際刑事裁判所という裁判所が存在しています。
執行機関なき国際裁判が、国際紛争の解決に果たす役割とは
国家間の法的な争いを解決する場だが
国連憲章では、加盟国に国際紛争の平和的解決義務を課し、武力による威嚇(いかく)、または武力の行使を禁止しています。
国家が国際紛争を平和的に解決しようとする時の紛争解決手段の一つが、国際裁判です。今日では、国連の主要司法機関である国際司法裁判所に加えて、多様な国際的な裁判所が設立されており、これらの国際裁判所で多様な事件が裁かれています。
国際裁判所は、法的な紛争についての判断を示す機関です。国家間の国際紛争は非常に複雑で、様々な要素を含んでいます。国際裁判は法的な紛争を解決する手続きですので、そうした複雑な国際紛争全体を解決するものではありません。
しかし、複雑な紛争の中の法的な論点について、第三者機関である国際裁判所が国際法に基づく判断をすることによって、その効果が全体に及び、紛争全体が解決されることが期待されます。
国際裁判所の判決に従わないことは不名誉
また、国際裁判所の国際法に基づく判断は、各国に国際法を守ることの重要性を知らしめることになり、国際社会における「法の支配」の確保につながると考えられます。
しばしば指摘されるように、国内社会と異なり、国際社会には国際裁判所の判決や判断を執行する機関はありません。しかし、国際社会では、国家としての名誉や信用がとても大事です。
国際裁判所の判決や判断に従わないことは、重大な不名誉な行為とみなされます。国際社会における国際裁判所の有効な機能は、国際社会の平和と安全に貢献すると考えています。
核兵器と反人道罪のない世界へ
広島市立大学 広島平和研究所
2019年に行われた国際シンポジウムの内容です。現在の国際社会では、平和の実現のために解決しなければならない問題が、多様かつ多数存在します。そうした論点を一般向けに記述したものです。
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United Nations Audiovisual Library
United Nations
国連視聴覚図書館のサイトです。国際法の様々な分野について、その分野の専門家の英語(場合によってはフランス語)の講演を視聴することができます。ビデオなので、止めたり、何度も聞きなおしたりできます。英語の勉強も含めて、有意義です。
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スペシャリスト 自覚なき殺戮者(映画)
エイアル・シヴァン(監督)
ナチスドイツの将校だったアドルフ・アイヒマンが、イスラエルの裁判所で裁かれた際の記録画像を基にしたドキュメンタリー映画です。人の国際法上の犯罪の問題は、現在の国際社会でも重要な論点の一つです。こうした犯罪を裁くのにはどのような手続がありうるのか、あるいは望ましいのかを考えるために、ぜひ見てほしいと思います。