【経営・経済農学】
ドイツの農村や農業の環境政策を調査、日本に活かす
市田知子先生
明治大学
農学部 食料環境政策学科(農学研究科 農業経済学専攻)
テーマは一言でいえば、「循環型社会の構築」です。地球の限られた資源を有効に使うために、ゴミ問題のような身近なテーマから、日本の食糧・農業の問題までを取り上げ、それが地球温暖化や生物多様性の問題とどのように結びつくか、どのように解決していけばよいのかを考えます。とりわけ、農村や農業における環境政策を、行政や地域社会との関り、社会の仕組みから研究しています。
ドイツ・デンマークのバイオマス発電
その研究の一つが、発電のためのバイオマスの利用についてです。バイオマス発電は生物由来のエネルギーで、一見環境に良さそうですが、実は、バイオマス発電の原料は95%、飼料用トウモロコシです。トウモロコシ栽培面積の拡大によって、多様な農村景観や植生、草地が失われることが課題になっています。
そこで、バイオマスによる発電、温熱供給の先進国であるドイツや、デンマークに行ってきました。ドイツでは、トウモロコシ偏重から脱しつつありますし、またデンマークでは食品産業の廃棄物など多様な原料がバイオマスとして発電に利用されていることを調査しました。
ほかにも、ドイツの農業政策や地域振興策などを調査しています。これらを日本の実態を比較して、日本の農業政策に役立てようと考えています。
一般的な傾向は?
●主な業種は→JA(農業協同組合)、都市銀行、生保、住宅メーカー、食品メーカー、環境ビジネス(再生可能エネルギー、環境認証等)、物流、地方公務員
●主な職種は→営業職、事務職
●業務の特徴は→人と接する仕事
分野はどう活かされる?
学科全体が農業政策、食品産業、環境問題に関することを、座学、実習を通じて教えているので、当研究室に限らず、それらに関連した業種を選ぶ傾向があると思います。
【テーマ例】
・食品の廃棄(食品ロス)を減らすにはどうすればよいか
・農山村の絶滅危惧種(タガメ、ニホンミツバチなど)がいなくなってしまうと、何が困るのか
日本農業の真実
生源寺眞一(ちくま新書)
2010年頃の日本農業をめぐる諸状況を簡潔にまとめている。農業経済学という学問の立場から見ても、日本農業の強みと弱みを歴史的にわかりやすく解説している。農業政策、農業・農村問題が中心だが、広く食料や環境の問題を考える上でも必要不可欠な知識を得ることができるだろう。
有限である資源を効率的に利用し持続可能な形で利用していく循環型社会、特に日本の食料やエネルギー循環を巡る、農山村の地域社会の問題を考える上でも基本的な内容がわかりやすく書かれている。
WOOD JOB! ~神去(かむさり)なあなあ日常
原作は人気作家・三浦しをんによる青春小説。林業、山村の実態がよくわかり、林業に関する映画で、木材にも興味を持つきっかけとなるだろう。監督は『ウォーターボーイズ』などのヒット作のある矢口史靖。(矢口史靖:監督、染谷将太、長澤まさみ:出演)