【応用微生物学】
腸内細菌が健康のカギ!1000兆個の腸内細菌と食生活との関係を調べる
遠藤明仁先生
東京農業大学
生物産業学部 食香粧化学科
ヒトの腸内には、多種多様な細菌が生息しています。その数は1人当り1000種1000兆個とも言われ、これは私たちの体を形作る体細胞の数よりもはるかに多い数です。代表的なものに、乳酸菌やビフィズス菌などがあります。善玉菌と言われるこれらの腸内細菌は、悪玉菌の異常増殖を防いだり、腸の運動を促したりすることで、お腹の調子を整える働きをします。
またこれらの腸内環境改善は、腸の健康だけでなく肌の健康状態も改善するため、最近では腸内環境改善からヒトの体全体の健康を考える、様々な特定保健用食品や機能性表示食品が発売され、健康増進ブームとともに注目されています。
腸内細菌のオリゴ糖代謝からカカオの発酵まで
オリゴ糖は体に良いと言われますが、実は我々ヒトの体ではオリゴ糖を分解して栄養にすることはできません。オリゴ糖は分解されずに腸まで到達し、腸内細菌の栄養となる難消化性食品成分です。
私は腸内細菌の中でも、善玉菌を効率よく増やし活性化することができるオリゴ糖を研究することで、オリゴ糖の本当の機能性というものを明らかにしてきました。腸内細菌を適切に保つことが、健康の秘けつと言えます。
またあまり知られていませんが、チョコレートの原料であるカカオは実は発酵食品です。その発酵を研究することで、より美味しいチョコレートの製造に寄与するという研究も行っています。
一般的な傾向は?
●主な業種は→食品・香料・化粧品のメーカー、原料メーカーなど
●主な職種は→研究、製造、品質管理、営業
分野はどう活かされる?
学生は主に学科低学年(1・2年生)を対象にしている「学科特別プロジェクト」で食品、香料、化粧品のモノづくりの基礎を体験し、高学年で卒論研究や大学院での研究を通じて、理論的なものの考え方、最先端の研究技術を身につけ、卒業・修了していきます。
食香粧化学科は自然豊かな北海道オホーツクキャンパスにあり、製品開発で必要な感性を高めるとともに、地域の豊かな資源を使った食品、香料、化粧品製造や、機能性の基礎から応用までを、実践的かつ実体験として学べることが特徴です。
ぜひ食香粧化学科で、食事と腸内細菌から考えるヒトの健康について、一緒に研究しましょう。
アレルギーのない子にするために1歳までにやっておきたいこと15
古賀泰裕(毎日新聞出版)
我々の腸内には、どのような細菌が生息しているのか。そしてその生息している腸内細菌は、我々の健康にどのような影響を与えるのか。さらに、乳幼児だけでなく成人でもアレルギーが増えてきている現代社会で、アレルギーを子孫へつなげないためにはどうしたら良いのかなど、わかりやすくなおかつ適切にまとめられている。
もやしもん
石川雅之(講談社)
菌が見える特殊能力を持つ青年が、農大でカビや酵母などの様々な菌に出会う漫画。様々な菌がコミカルにキャラクター化されて描かれており、食品発酵を中心とする応用微生物学・微生物利用学を、高校生でもわかりやすく学べるだろう。