Q1.一番聴いている音楽アーティストは?
初音ミク。特に初期の頃は、生身の人間に比べて音声合成感が強くありましたが、逆にそこにこそ、人間が持っていない独特の魅力や可能性を感じます。
最先端研究を訪ねて
【原子・分子・量子エレクトロニクス】
量子情報通信
究極の情報ネットワーク「量子インターネット」実現へ!安全に通信を行うための暗号をめぐる「いたちごっこ」にも終止符
生田力三先生
大阪大学
基礎工学部 電子物理科学科 物性物理科学コース(基礎工学研究科 物質創成専攻)
◆この研究を着想したきっかけは何ですか
現代の「ネット社会」では、世界中のコンピュータがインターネットを介して繋がることで、多くの便利なサービスが実現されています。究極のコンピュータとして話題の量子コンピュータも、ネットワーク化により、今の私たちの常識からは想像もできない豊かなサービスにつながると期待しています。
こうした、次世代型かつ究極の情報ネットワーク「量子インターネット」の実現に向けた技術開発を行うべく、量子情報通信の研究を始めました。これは、光の最小単位である一粒一粒の光に情報を乗せて行う通信であり、この分野の最先端を走るものです。
◆具体的にどんな研究ですか
これまでの量子情報通信には、光ファイバー内で、様々な要因での光の乱れや光損失によって、送りたい量子情報が失われてしまうという欠点がありました。この欠点を克服する方法を構築しました。これにより、光が持つ量子情報を壊すことなく、ある波長から別の波長に変換する技術開発に成功しました。
量子コンピュータとひと口に言っても、その実現方法や状況によって、様々な波長(色)の光で操作を行うことになります。この度開発した波長変換技術によって、どの量子コンピュータでも、光を介して繋ぐことが可能になります。
◆どんなことに貢献するでしょう
安全に情報通信を行うためには、第三者にデータを読み取られないための暗号化が、必要不可欠です。これまでの暗号技術の歴史は、新暗号開発とその解読法の発見という、いたちごっこの歴史と言えます。
我々が実現を目指す量子インターネットは、その応用の1つとして、このいたちごっこに終止符を打つ量子暗号技術の提供を、世界中で可能にします。あらゆる解読法に対して、安全な情報通信を厳密に保証します。
量子力学に基づく、究極の情報ネットワーク網である量子インターネットは、情報の秘匿性を含め、既存のインターネットでは実現できない様々な技術を可能にします。
こうした、信頼性のある強力な情報ネットワークへのアクセスを、世界中の人々に確保することが、量子インターネット実現の大きな目的の1つです。
また、その実現、あるいはそれに向けた取り組みは、現在の常識を超えた新たなアイデアを創出し、技術革新の拡大に貢献できるものだと考えております。
修士時代の研究室飲み会で、先生が「社会に出たら嫌でも上の人の言うことを聞かないといけないことが多くなるんだから、学生のうちは先生の言うことなんか無視して、好きなことをやっていればいいんですよ」と仰っていたのが、とても印象に残っています。
実際その言葉に甘え、あまり研究に関係がないことをして過ごすことも多い毎日でしたが、当時の楽しい記憶や勉強した内容は、今の研究生活に繋がるかけがえのないものだと思っています。
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「15.エレクトロニクス・ナノ」の「60.物性物理・量子物理、半導体、電子関連材料」
量子エレクトロニクスの技術を使い、量子情報科学を研究しています。そのための実験として、光や冷却した原子などを利用した量子情報処理などを行っています。
◆主な業種
・通信、光学機器
・半導体・電子部品・デバイス、自動車・機器
・金融・保険・証券・ファイナンシャル
・大学・短大・高専等、教育機関・研究機関
◆主な職種
・基礎・応用研究、先行開発
・設計・開発
・システムエンジニア
・経理・会計・財務、その他会計・税務・金融系専門職
・大学等研究機関所属の教員・研究者
◆学んだことはどう生きる?
量子暗号通信のための理論および実験の研究を行い、セキュリティ関連の機器開発に携わっています。
量子コンピュータや量子インターネットなど、未来感溢れるワードが並びます。ただし量子情報科学は、こうした応用以外にも魅力があるものです。
世の中が、どのような物理で成り立っているのか。量子情報科学は、その下地の知識となる非常に基礎的な理解を、私たちにもたらしてくれます。将来どの分野に進むにしろ、量子情報科学の学びは、きっと大いに役立つ武器として活躍してくれると思います。
(1)ヤングの2重スリット実験に見られるような光の干渉実験は、身近にある光源や道具を利用して行うことができます。まずはこのことを確認してみましょう。量子情報分野で用いられるような1光子でも、同様のセットアップと適切な測定によって、干渉効果を観測できることが知られています。光源として1光子を用いた場合とそうでない場合における共通点・相違点について考え、調べてみましょう。
(2)量子コンピュータや量子情報通信・量子暗号など、「量子」と名のついた技術を目にする機会が増えてきました。他にどんな技術があるのか、既存の技術に比べて何が嬉しいのか、調べてみましょう。また、実現に向けて難しい点や、何ができて何ができないのか、整理してみましょう。
暗号解読
サイモン・シン:著 青木薫:訳(新潮文庫)
古代から現代までの、暗号の発展の歴史を描いた本。暗号は、科学との密接な関わりがあった。科学技術の進歩と共に変化せざるを得なかった暗号技術が、量子情報科学の登場により、その歴史に終止符を打つことになる未来を感じさせる。
フェルマーの最終定理
サイモン・シン:著 青木薫:訳(新潮文庫)
数学界最大の超難問は、どうやって解かれたのか。長年にわたり未解決であった数学の難問に挑む科学者の姿や、解決に至るまでのドラマが、丁寧かつ情熱的に描かれている。多くの科学者の知恵と努力が、様々な方面から実を結んでいく感動を味わえる。
量子力学と私
朝永振一郎(岩波文庫)
ノーベル賞を受賞した物理学者朝永による、量子力学の解説。中でも、帯独日記(抄録)には、ドイツ留学中の著者の試行錯誤や苦悩、物理に対する熱意など、心の内が生々しく綴られており、非常に興味深い。読後には、自分も頑張ろうという意欲が湧いてくる。
漱石人生論集
夏目漱石:著(講談社文芸文庫)
夏目漱石は小説家として有名だが、講演録や批評のどれをとっても面白いものばかりだ。例えばこの本に収録されている「愚見数則」は、生きて行く上で大切にしたい教えで埋め尽くされているので、ぜひとも読んでほしい。『私の個人主義』も、今の時代にこそ読んでおきたいと感じる著書。書簡には若い作家らとのやりとりも多く残されており、読むととても勇気づけられる。
Q1.一番聴いている音楽アーティストは?
初音ミク。特に初期の頃は、生身の人間に比べて音声合成感が強くありましたが、逆にそこにこそ、人間が持っていない独特の魅力や可能性を感じます。
Q2.感動した映画は?印象に残っている映画は?
『耳をすませば』。観る年齢や精神状態によって、全く違う感想を持ったり発見をしたり、またそういう自分自身に気づかされたりと、とても愉快な映画だと思います。
Q3.熱中したゲームは?
テトリス。中学時代、毎晩のように何時間もしていました。慣れると手が勝手に動いてブロックを捌いていく感じになり、それが気持ちよくてひたすらやっていました。