Q1.感動した映画は?印象に残っている映画は?
「シンドラーのリスト」
最先端研究を訪ねて
【ナノ構造物理】
熱電材料
廃熱を電気エネルギーに変換 ~変換効率を最大級にして新エネルギー源開発へ
中村芳明先生
大阪大学
基礎工学部 電子物理科学科 エレクトロニクスコース(基礎工学研究科 システム創成専攻)
◆研究の着想のきっかけは何ですか
半導体は電気を流す電子回路・素子として、コンピュータの集積回路などに広く利用され、暮らしを豊かにしています。ただし欠点は、廃熱として無駄にエネルギーを放出してしまうことでした。
現在、情報通信機器に含まれる集積回路で、エネルギーのほぼ6割が発熱として無駄に失われ、莫大な消費エネルギーが問題となってきています。これを解決できないかと思案してきました。
◆どんな成果が上がりましたか
半導体の代表的な材料であるシリコンは電子素子に使われており、シリコンでできた基板上に、集積回路などが形成されています。私たちは、シリコン基板上に形成可能な無毒・環境低負荷なIV族元素からなる、薄膜の熱電材料に注目しました。
このような薄膜材料において、廃熱を直接電気に熱電変換する効率を大幅に増大させる方法論の構築に成功しました。私たちの研究成果の1つとして、IV族元素であるゲルマニウムを用いて、シリコン薄膜の性能を向上させた例をご紹介いたします。
シリコンは自然界に多く存在し、環境的にも産業的にも優れた性能を持ちます。ただし、そのままでは廃熱利用はできません。様々なナノ構造・結晶を導入することで、熱電発電が可能になるような工夫が必要です。
そこで私たちは、シリコン結晶の構造に、非常に微小なサイズのゲルマニウム結晶を作りこみました。この結晶は、無駄に放出される熱伝導を妨げる働きをします。その結果、電流はシリコン中を高い電気伝導率で流れ、同時に、廃熱を無駄にしない構造を作り出すことができました。
◆その研究が進むと何が良いでしょうか
熱電材料開発は、高性能化が進めば、世の中に無駄に捨てられている熱(廃熱)を、電気エネルギーとして再利用することができます。それが実現すれば、新たな理想的エネルギー源の1つとなりえます。
持続可能な、新たなクリーンエネルギー源の開発が必要とされています。その1つとして、廃熱を電気エネルギーに変換して利用する熱電発電が期待されています。
その課題として、十分に高い変換効率を可能にし、社会応用可能な熱電変換材料・素子の開発が必須となります。私たちの研究室では、高度に制御したナノ構造・半導体を用いることで、高性能であり環境低負荷の従来にない材料を実現させることで、この問題解決に取り組んでいます。
大学4年生の時、大学の指導教員が楽しそうに研究の話をする姿を見て、研究に興味を持ちました。その後、大学院に進学。指導教員と研究について議論する機会が多々あり、それが楽しいと思うようになったのがきっかけです。
そして、学会等に参加。自分の研究での経験を通して、他研究者の発表の成果が理解・判断できるようになると、聴講・議論がより楽しくなりました。
上記のように、研究を楽しむ先達の姿を見る機会があったこと、自分の研究発表・議論の場があったことが、研究者に惹かれる1番の理由かと思います。研究を始めた頃は、テーマ自体よりも周りの人達・環境から受ける影響の方が、重要だった気がします。
ナノ技術・科学に立脚した、熱電材料開発及び、熱流制御材料開発。
◆主な業種
・自動車・機器、その他の輸送用機械・機器
・半導体・電子部品・デバイス、その他の電気・電子系機器、精密機器
・化学・化粧品・繊維/化学工業製品・衣料・石油製品(プラントは除く)
・電気・ガス・水道・熱供給業
・大学、短大・高専等(教育機関・研究機関)等
◆主な職種
・基礎・応用研究、先行開発
・設計・開発
・品質管理・評価
・大学等研究機関所属の教員・研究者
・その他
◆学んだことはどう生きる?
ナノ構造物理、結晶工学、薄膜・表面界面物性といった分野で研究しており、そこでは薄膜成長、ナノ構造物理、半導体工学、電子物性、熱物性などの様々な学問を使用します。
ある卒業生は、半導体プロセス業務の際、電気・熱の観点で製品を見ることができる、つまり多角的な視点で物事を捉え、仕事を成し得ているようです。
また、他の卒業生は少し業種が変わり、電気回路系の部署に所属しておりますが、1つの研究を通して物事の一貫した考え方を身に着けたおかげで、論理的な電気回路設計に取り組むことができているようです。
装置や電気・電子素子が、豊かな生活を支えています。その装置や素子の機能を支えているのは、機能・性能を発現するコアとなる材料です。革新的な材料を創出することで、よりよい生活を生み出すことができます。半導体・結晶、ナノ構造物理の研究分野は、そのコアの部分を扱う学問と考えています。
捨てられる熱を電気に変換して再利用することは、理想的なエネルギー源を創る試みといえます。また、熱以外においても、無駄に捨てられているエネルギーを電気として再利用する試みは多くなされております。現在どのような試みがあり、どのくらいの電力を生み出しうるのか、また他のエネルギーと比べた時の欠点と利点をいくつか調べてみましょう。さらに、社会利用する際の課題とその解決方法について自分なりに考えてみましょう。
川勝先生の物理授業
川勝博(海鳴社)
愛知県立旭丘高校教諭の川勝博先生による、1993年度の物理の授業。そこではまず「人が直立している時、体にはどんな力がかかっているのか?」といった素朴な疑問を設定し、クラスでその答えをディスカッションし、皆で立てた仮説を実験によって実証するという、ユニークな試みがなされていた。
本書は、その授業後に毎回生徒が書いた記録と、感想ノートを土台として編まれたものだ。高校の物理が分かりやすく解説されているだけでなく、1つの学理を身近な視点など様々な角度から見てみることで、学問を学ぶ楽しさへと導かれる。
Q1.感動した映画は?印象に残っている映画は?
「シンドラーのリスト」
Q2.学生時代に/最近、熱中したゲームは?
ハイドライドII、III、信長の野望、三国志
Q3.会ってみたい有名人は?
諸葛亮孔明