Q1.一番聴いている音楽アーティストは?
コロナ前は、年間40回ほどライブに行っていました。ファンクラブ暦が長いのはSuperflyとaiko。最近になって入ったのは、緑黄色社会とあいみょん。
最先端研究を訪ねて
【物理化学】
電池
電池の効率や寿命を左右する界面を観察できる、新しい顕微鏡を世界に先がけて開発!
福井賢一先生
大阪大学
基礎工学部 化学応用科学科 合成化学コース(基礎工学研究科 物質創成専攻)
◆研究の着想のきっかけは何ですか
リチウムイオン電池などの電池は、電解質溶液に電極が差し込まれた形をしていて、電極との間で電子をスムースにやり取りできると、電気エネルギーを効率よく取り出すことができます。その電子のやり取りのしやすさを決定するのは、電極からわずか1/100000 mmの厚みの、電気二重層という層であることが知られています。
私は、この電気二重層の細かく正確な情報を得るための顕微鏡を、世界に先がけて開発しました。またそれを用いて、これまでの顕微分析手法ではわからなかった、電気二重層を構成する分子やイオンの振る舞いを詳しく調べ、その有効性を実証しました。
◆何がわかりましたか
水溶液と電極の間にできる電気二重層は、水分子が水素結合によるネットワークを形成しながら、イオンを取り込んで形成されます。このネットワークの強さが、溶けているイオンの種類や電極の電位に応じて、大きく変化することを発見しました。非常に効率の良い電池の設計に結びつくと期待しています。
◆その研究が進むと何が良いのでしょうか
電解質溶液と電極との間にできる電気二重層は、わずか1/100000 mmの厚みですが、その中に含まれる分子やイオンの振る舞いを詳しく調べることによって、非常に効率よく電力を取り出せる蓄電池や、大きな電力を貯蔵可能な高効率のキャパシタ(蓄電器)が実現可能となると期待されます。
効率の良い蓄電池の開発、光触媒の高効率化による清浄化、クリーンな水素エネルギー利用のための水素の安全な貯蔵・放出で、貢献できると考えます。
中学3年の時、福井謙一という自分と漢字一字違いの先生がノーベル化学賞を受賞されたのをニュースで知りましたが、陸上競技の方が大事で、それほど関心はありませんでした。
高校では古文なども好きだったのですが、小学校の時の「科学」好きの記憶が残り、大学も理系の学部に進みました。学科を決めるのが2年後期だったのが私には幸いで、地学実習や生物など、必須でなかった科目が楽しかった思い出があります。
自己紹介する度にノーベル賞受賞者と同じ名前と言われるのが面倒で、化学は避けようとする思いがありました。ところが、色々と学ぶ中で、化学は物性物理やその当時特に流行った生物工学にも大事な学問であることが、何となくわかったのです。
化学が得意とする原子・分子の視点で周辺分野を見てみたいと思うようになり、期せずして化学を専攻することとなりました。
我々の研究グループは、エネルギーの変換・蓄積をする界面(物質と物質を隔てる面)の機能に注目した研究を行っています。特に、固体と液体との界面に生じる電気二重層は、電池に代表される電気エネルギーや、触媒作用による化学エネルギーを生み出し、物質変換を起こす場を作り出します。
その原子・分子スケールの構造や電子状態を、細かく観測し調べることによって、どのような仕組みで機能が生まれるのか、物理化学の言語で記述していく(翻訳していく)ことを目的に研究を進めています。
◆主な業種
・その他の輸送用機械・機器(自動車・船・航空機・鉄道以外)
・電気機械・機器
・コンピュータ・情報通信機器
・半導体・電子部品・デバイス
・鉄鋼
・セラミクス、ガラス、炭素
・化学・化粧品・繊維/化学工業製品・衣料・石油製品
・その他の化学系
・ソフトウエア・情報システム開発
・電気・ガス・水道・熱器供給業
・大学・短大・高専等、教育機関・研究機関
・官庁、自治体、公的法人、国際機関等
◆主な職種
・基礎・応用研究・先行開発
・設計・開発
・生産技術
・製造・施工
・品質管理・評価
・システムエンジニア
・セールスエンジニア・技術営業
・技術系企画・調査、コンサルタント
・中学校・高校教員など
・大学等研究機関所属の教員・研究者
◆学んだことはどう生きる?
電池やキャパシタの開発、有機半導体デバイスの開発、大学教員を始め、多種多様な業種で活躍しています。
大学の化学は、高校までに学ぶ化学と大きく異なります。大学では、高校の教科書で省略されてしまっている『なぜそうなるのか』が学べます。我々の学科・コースでは、国内に並ぶ例がないほど「化学の基礎」を、3年間でみっちりと学べるカリキュラムが用意されています。ここで学んだ事柄は、きっと皆さんの力になるはずです。
物理化学という分野は、化学だけでなく物理も良く知っている必要があります。物理出身の方との議論も、とても多い分野です。しかし、化学で最も重要な化学反応についての「ここぞ」という勘所は、化学出身の研究者に分があります。これは経験上、間違いがありません。物質化学に興味があるなら、まずは化学と物理の両方を学ぶことをお勧めします。
・リチウムイオン電池はしばしば発火・延焼する事故が起こって、ニュースにもなっています。そういう事故が起こりにくい、新しい仕組みのリチウムイオン電池がいくつか提案されているので、 調べてみましょう。
・スマホなどの充電池は繰り返し使っていると、だんだん使える時間が少なくなってきます。どんな理由で劣化が起こると考えられているか、調べてみましょう。
すごいぞ! 身のまわりの表面科学 ツルツル、ピカピカ、ザラザラの不思議
日本表面科学会:編(ブルーバックス)
温泉の鏡はなぜ曇らないか、サメ肌の水着を着るとなぜ速く泳げるか、カタツムリの殻はなぜいつもきれいなのかなど、身の回りの不思議な現象が、表面科学でわかりやすく説明されている。
同じ分子が集まってできている固体や液体でも、外との境界に当たる表面は、内部とは異なる不思議な性質を持つ。この、物質の表面に着目して研究するのが「表面科学」という物理学の一分野だ。
改訂 実感する化学
A Project of the American Chemical Society:編 廣瀬千秋:訳(エヌ・ティー・エス)
身近な事象をもとに、化学をわかりやすく学べる型破りな教科書。もともとはアメリカで、高校までに化学を学んでこなかったような、文系学部の大学生向けに書かれたもの。ふんだんに実例が紹介されているので、楽しく読みながら、何のために化学を学ぶのかがわかる。
上巻では空気や地球環境問題など、地球に関係する現象が、下巻ではエネルギーやプラスチック、薬、栄養、遺伝子工学など、生活と体に関係する事柄が取り上げられている。
ロウソクの科学
ファラデー:著 三石巌:訳(角川文庫)
電磁気学を確立した18世紀の大科学者であったマイケル・ファラデーが、1861年のクリスマス休暇に行った市民に向けた講座を再現したもの。ファラデーはたった1本のロウソクを素材に、種類、製法、燃焼、生成物質と、様々な科学の話をする。
一般市民に向けて、どのように科学の魅力を伝えたら良いか。その見本として長く読み継がれている本であり、今読んでも全く古くさくない。
Q1.一番聴いている音楽アーティストは?
コロナ前は、年間40回ほどライブに行っていました。ファンクラブ暦が長いのはSuperflyとaiko。最近になって入ったのは、緑黄色社会とあいみょん。
Q2.大学時代の部活・サークルは?
フォークギターを演奏するサークルで、曲を作って歌っていました。
Q3.研究以外で楽しいことは?
スポーツジムでのスタジオプログラム。とくにZUMBAとRITMOSが楽しく、平均週5日ぐらい通っています。