Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?
数学か物理が面白かったが、頭がそれほど良くないので、今の分野がちょうとよい。
最先端研究を訪ねて
【構造生物化学】
光合成
世界十大成果の一つに選ばれた!太陽光と水からエネルギーと酸素を取り出す、光合成の謎を追求
沈建仁先生
岡山大学
理学部 生物学科(自然科学研究科 生物科学専攻/異分野基礎科学研究所 学際基礎科学専攻)
◆着想のきっかけは何ですか
植物の光合成は、太陽の光を利用して、水を分解する反応です。これによって、光は生物が利用できる化学エネルギーに変換され、酸素が生産されます。どちらも、地球上のほとんどの生物の生存に不可欠なものです。
この光による水分解反応は、今も光合成の最大の謎です。私が大学院に入学した頃、この反応の仕組みはまだよく分かっていませんでした。その仕組みの解明に興味を持ったのが、研究のきっかけです。
◆どんなことがわかりましたか
この研究には、光合成をすることで有名な「藍藻」という細菌を使いました。温泉から藍藻を採取し、その細胞から、水分解を促す働きを持つ「光化学系II」という膜タンパク質複合体を精製しました。
さらにこの膜タンパク質複合体の結晶を作製し、SPring-8という大型放射光施設で、X線を使って世界最高の分解能でその構造を詳しく調べました。その成果は、2011年の世界10大成果の1つにも選出されました。
◆その研究が進むと何が良いのでしょう
この研究が進むと、光を利用して水を分解する反応の仕組みが解明できるようになります。その仕組みからヒントを得て、人工的に水分解を促す物質(光人工触媒)の開発が進むと思います。将来的には人工光合成の実現にも貢献でき、二酸化炭素の放出を伴わないクリーンエネルギーの獲得にもつながると期待できます。
地球上の生物の生存に必要なエネルギー、および好気生物の生存に必要な酸素は、太陽光と水から、光合成によって変換されたものです。太陽光と水から化学エネルギーと酸素を作るには、触媒が必要です。そしてこの触媒は、光化学系IIと呼ばれる膜タンパク質複合体です。
私たちの研究は、光化学系IIの構造と機能を解析し、水分解・酸素発生反応の機構を解明しようとするものです。自然界にある触媒の構造と反応機構の解明により、人工光合成に不可欠な人工触媒の合成にヒントを与え、二酸化炭素の放出を伴わないクリーンエネルギーの獲得につながることが期待されます。
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「7.生物・バイオ」の「21.分子生物学・細胞生物学・発生生物学、生化学(生理・行動・構造等 基礎生物学も含む)」
植物の光合成の光エネルギー変換反応に関わる、膜タンパク質複合体の構造と機能について、学生に希望するテーマを選んでもらい、研究に取り組んでもらっています。
◆主な業種
・薬剤・医薬品
・食品・食料品・飲料品/飼料・肥料
・小・中学校、高等学校、専修学校・各種学校等
・大学・短大・高専等、教育機関・研究機関
・官庁、自治体、公的法人、国際機関等
◆主な職種
・研究開発、事務、総合職等
◆学んだことはどう生きる?
製薬会社で、学んだタンパク質の精製や構造解析等の技術を活用して、研究に取り組んでいます。
タンパク質は多種多様で、生命活動の実際の担い手です。その構造・機能解析には多くの技術が必要で、まだ多くの課題が残っています。多くの若い人の参入を期待しています。
1.大気中の酸素はどこから、どのように作られたのでしょうか。酸素が作られる光合成の仕組みを調べてみましょう。
2.生物が生存するのに必要なエネルギーは、ほぼすべて太陽光から来たものです。太陽光のエネルギーがどのように生物が利用可能な化学エネルギーに変換されるのか、光合成の光エネルギー変換の仕組みを調べてみましょう。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?
数学か物理が面白かったが、頭がそれほど良くないので、今の分野がちょうとよい。
Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?
中国。出身国。
Q3.熱中したゲームは?
三国志